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2011/10/24

"Clavelito, clavelito de mi corazón..." 13世紀からの響き「トゥナ」


「♪クラベリート、クラベリート・デ・ミコラソ~ン♪」 

"Clavelitos (カーネーション)"というこの曲は、スペインのトゥナがよく演奏する曲。愛しい女性へ捧げるスペインの有名なセレナーデです。

スペインの大学都市を訪れたことのある方は、広場や街角、バルなどで黒い伝統衣装に身を包み、長いケープまとい楽器を手にしている男性グループがスペイン民謡を演奏しながら歌ったり、踊ったりしているのを見かけたことがあるかもしれません。そう、それが「トゥナ(Tuna) 」。大学生による弾き語りの楽団のことです。トゥナの歴史は古く、13世紀にはスペイン最古の大学であるサラマンカ大学とサンティアゴ・デ・コンポステラ大学で既に存在していたと言われています。

当時、経済的にあまり恵まれていない学生たちが、学費や生活費の足しにするために、学部の仲間たちと夜な夜な大学の制服姿で街に出掛け、演奏をしてはチップと1杯の温かいスープを恵んでもらっていた、それが、トゥナの始まりだと言われています。スープはスペイン語で「Sopa (ソパ)」。そこからトゥナは「ソピスタ (Sopista)~スープの人」という呼びれ方もしていたようです。ソピスタとは本来、修道院などで施される質素なスープ (Sopa boba)を生活の糧にしていた貧者、貧学生のこと。今でも、働きもしないで親のすねをかじってばかりいる人をこの「ソパ・ボバで生きている」なんて表現をしますが、トゥナに起源があるのかどうか・・・ここはスペイン語の先生達に質問してみると面白いお話が聞けるかもしれませんよ。

さて、トゥナのトレードマークとも言うべき黒い衣装。肩からV字に掛けているベカ (Beca)と呼ばれるたすきのような帯は、在学している学部によって色が異なります。例えば法学部は赤、文学部は紫、医学部は黄色・・・というように。ベカには大学や学部の校章も刺しゅうされているので、このベカを見ると、「○○大学の○○学部のトゥナだな」と判るわけです。ケープについているたくさんのワッペンは、これまでに演奏のために訪れた国や都市の紋章。そして、ケープにカラフルな細長いリボンを付けている人もいます。このリボンは公演の先々で女性から贈られたもの。このリボンは女性しか贈ることはできません。トゥナは男子学生のグループですので、女性からどれだけ人気があるかを示す自慢の一品とでも言いましょうか。

トゥナはギター、アコーディオン、マンドリンやタンバリンなどの楽器を演奏しながら、ヨーロッパのフォルクローレを時に踊りも交えて聴かせてくれます。恋する女性を口説くために、トゥナを雇い女性を囲んでとてもロマンティックな歌をプレゼントするなんてことは、今ではあまり見かけませんが、広場のカフェのテラスやレストラン、パーティなどでスペインを訪れる観光客を楽しませています。13世紀から800年を経て今なお、素晴らしい歌声を響かせながら生き続けているスペイン伝統文化のひとつです。



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